120228 FXセミナー棚瀬純哉氏(外為どっと)

★今年の展望
2012年年末予測 ドル円72円、まだ下がるかも。
豪ドル円 81円~78円
まず為替相場を見るときは、各国の経済状況などより大局をつかむ。

・パターン①リスクオン:景気がよく、投資家がリスクを取る。
クロス円上昇。ドル円はその時の状況による。

・パターン②リスクオフ:景気が悪く、投資家がリスクを取れない。
クロス円下落。
リーマンの時はドル円が買われた。ドルは実は強かったので
ドル安ではなく円高によるもの。

「何がリスクオンの要因になっているか、その「理由」が重要」

今年は基本リスクオン

①景況感
②欧州の財政問題

★欧州の状況
短期的にいったんマーケットは落ち着いた。
理由→①第二次支援合意。ギリシャ受け入れた。デフォルトは回避。

②ECB3年物資金供給オペ(3年返さなくていい)
欧州の銀行に資金が流れた。伊の銀行は伊国債を買う。西の銀行は西国債を買う。
各国の国債を買い支えた。しかしその場しのぎ、今後も定期的に不安定になる。

○ギリシャ4月に総選挙
・新しい政権が「第二次緊縮策」をきちんとやるのか。
・2020年までに公的債務対GDPを120%に。できるのか?
トロイカ(EU、ECB、IMF)は、2014年から成長率2%になるだろう、と甘めの見通し。
第二次も独は出し渋っていた。

○ポルトガル少々きなくさい。
今は支援を受けて、2013年から自立。

★今年の相場
・ドル円はゆるやかに下がる。
・クロス円は上がるかレンジ。
2007年頃は金利差があって円が弱かった。
今はそんなに金利差がないので、AUDが100円まで行くなどとは考えにくい。

★足元の円安について
2月円下落。そろそろ反落するだろう。この円安はそんなに続かないのでは。
投機筋は利益確定で手仕舞うので、1カ月くらいで元に戻るだろう。
株価から見ると、円安は妥当だが、金利から見ると、少々売られ過ぎ感がある。

今回の円安理由

①2011年日本が貿易赤字になった。いつか経常赤字になって、財政破綻して
ハイパーインフレになるのでは?と考える海外投機筋が売り材料にした。

②2/14日銀が金融緩和。日銀が国債を買い支える。インフレターゲット1%を示した。
2011年、円は一番強かった。

★経常赤字について
週刊誌レベルでも経常赤字について語られるようになってきた。
(週刊現代はベアなネタが多い。ギリシャショック起こるぞ!とか経常赤字になるぞ!など。)

今後「経常赤字」になるのはほぼ確実だろう。
時期は分からない。 2015年~2020年?
そのとき円安になるか?→他の要因もあるので分からない。
国内の貯蓄が、投資より少ないと赤字。
国内の貯蓄が、投資より多いと黒字。
政府は赤字だが、日本には金がまだある。
これまでの経済成長で蓄えてきた富を、政府が食いつぶしているようなもの。
しかし今後国債はもはや国内の貯蓄だけでまかなえなくなる。
→外国人投資家に買ってもらうしかなくなる。
「JGBもっと金利高くしないと買わないよ」という状況に・・。
金利が上がれば価格は下がる。

80年代米と同じ状況
70年代後半、米は純債権国だった。
80年代財政赤字、経常赤字に。国内からファイナンスできなくなった(借金できなくなったの意味)
純債務国に→金利上昇→海外に出ていた投資マネーが戻る。
結果→ドル高になった。

(インプリケーション:結果として意味することは)
日本250兆円の対外資産。
世界一の純債権国。
同じことが起これば、投資マネーが戻ってくる。
←預金金利が10%あれば、わざわざ為替リスクを負ってまで
レアル債などを買う必要もなくなるから。

経常赤字になっても今と変わらずデフレで、海外との金利差があまりなければ
円はそれほど下落しないだろう。

政府
日銀がいくら国債を買っても、景気に対するインパクトはゼロ。
インフレになるのは難しい。
(極端に言えば、各世帯に1000万円ずつ配ってそれを日銀が引き受ける。などとすればインフレになるが・・。)
インフレにするには日銀だけの力じゃムリ。
政府がガラッと変わらないと。
今後は政府のスタンスが為替に影響を与えるかも。
政府の財政政策に対するスタンスに注目。

★豪ドルについて
株価との相関関係が一番強い。
リスクオンでは買われて、リスクオフでは大きく売られる。

経済状況
豪貿易収支 赤字からこの数年黒字に転化。
理由 輸出 :鉄鉱石、石炭。コモデティ価格が↑上がっている。
輸入:機械、車など。価格はそう変わらず→
これが豪ドルを支えている。
交易条件の改善
(ちなみに日本はこの状況の真逆。コモデティを輸入して、機械、車を輸出しているため貿易赤字に。)
AUDのカギは中国。
輸出している鉄鉱石の7割が中国向け。
中国の景気が上向けば、豪も上がる。
現在中国のPMI(景気指数)が真ん中の50。これからどちらへ行くか?
豪は所得収支は赤字。
外国に借金していて利子の支払い。米と同じリスク。
経常収支も赤字。
赤字をオフセット(相殺)、ファイナンスできない。

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(参考)
・ 経常収支 -
①貿易収支
②サービス収支
国際収支
③所得収支
④経常移転収支
・ 資本収支 -
①証券投資
②直接投資
③デリバティブズ
④その他

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★円の実効レート
長期でいうと今はちょうど平均のところ。

★今後の欧州
①EUからギリシャ抜ける←考えにくい
②独、IMFがギリシャ債務肩代わり。←可能性は高い。
独は「ユーロを存続させる」と宣言している。
PSI 債務減免
選択デフォルト
もし強制デフォルトになったら、CDS独、仏が売っている。
波及リスクがどれくらいか分からない。

★質問
Q:介入が効かないのはなぜか?プラザ合意のときはなぜ効いたのか。
A:マーケットの規模が違う。今は取引高が増えているから効きづらい。
プラザ合意は協調介入だった。今は日本が欧米に言っても協調はしてもらえない。